子どもが不登校になると悩む原因の一つが進学先です。不登校児童数の増加により、学校の対策は進んでいるとはいえ、まだまだ当事者にとっては情報が不足していますし、よくわからない部分が多いかと思います。ここでは、子どもが小学校で不登校になり、不登校特例校(学びの多様化学校)の中学校へ進学した体験談をもとに、どのような学校なのかをお伝えします。
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こんにちは!
こいちご と申します
娘のモモ
小5の3学期からお休み中
不登校特例校の中学校とフリースクールに在籍しているよ
学びの多様化学校とは?
「不登校特例校」と「学びの多様化学校」は同じものです。
令和5年8月31日、文部科学省は、正式名称「不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校」をいわゆる「不登校特例校」と呼んでいたのを、「学びの多様化学校」に変更しました。
子どもたちの目線に立った名称ということです。
※令和5年3月にとりまとめた「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLO プラン)」において、「「不登校特例校」の名称について、関係者に意見を募り、より子供たちの目線に立った 相応しいものにします」とされていることを踏まえ、全国の学びの多様化学校の児童生徒と教職員に対 して新たな名称の案を募り、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策推進本部」の構成員で審査したのちに、令和5年8月31日に文部科学大臣により「学びの多様化学校」に決定。
引用:文部科学省「学びの多様化学校の設置に向けて」【手引き】
学校の名称が少し長いので、この記事では「学びの多様化学校」を
「多様化学校」と略してお話させていただきます
通常の学校との違いは?
多様化学校とは、平成17年に学校教育法施行規則の一部を改正し、文部科学省に指定された、通常の学校に通えない不登校の児童・生徒のために設置された特別な学校になります。
指定された学校は「特別の教育課程」を必要とする生徒に対して、柔軟な教育を提供することを目的としています。
不登校状態であるかどうかは、文部科学省で示された年間30日以上の欠席という定義を参考として、ぞれぞれの学校や管理機関に判断を委ねています。
なので、学校によって入学対象の基準が異なることがある、ということです。
「特別の教育課程」とは、学習指導要綱にとらわれない学校独自のプログラムです。
例えば
- 授業時間の組み替え
- 新設の独自の授業
- 授業時間の短縮
など、ゆったりとしたプログラムになっていることが多いです。
他にも
- 朝の開始時間を遅くする
- 休み時間を長く取る
- 一人ひとりに配慮した構成
などもあります。これは学校ごとに特色が異なります。
全国にどのくらい設置されている?
多様化学校は、令和6年度で全国に35校設置されています。公立21校と私立14校です。東京は一番多く10校あります。
令和5年4月は24校でしたので、1年で11校増えました。
35校の中には
- 小学校
- 中学校
- 小・中一貫校
- 中・高一貫校
- 高等学校
があります。なので、近くにあるからといっても対象年齢ではない可能性があります。
将来的には各都道府県、政令指定都市での1校以上の設置を進め、通学したい生徒がアクセスしやすいように、分教室型も含め、全国で300校を目指すとしています。
多様化学校には種類がいくつかあります。
- 学校型 独立した学校
- 分教室型 一部の学級のみを多様化学校としている(母体としている学校がある)
- コース型 高等学校等において、一部のコースを学びの多様化学校としている
- 分校型 (令和6年度から)本校と分離して設けられている
我が家の子どもが行っているのは、分教室型になります。普通中学校の本校があり、別の場所に分教室とて設置されているものです。校長先生は本校と同じ先生で、専科の先生も本校から授業にきていたり、例えば通学定期券の申請も学校へ書類を提出すると、本校へ書類が届けられ、また戻ってくるので時間がかかります。
公立・私立と人数
在籍人数は公立と私立では、人数が全く違います(新設校は人数が少ないです)。
全国の多様化学校は、公立は1学年5人以下のところもありますし、私立は100人以上のところもあります。公立のほとんどは1学年が数人〜10人の小規模です。子どもが入学した学校は、まだ新設したばかりだったということ、多くは受け入れない、ということで想像以上に少人数でした。
公立のほとんどが、住民票を置いている自治体での入学資格になります。私立は通える範囲内というところが多いようです。私も当時この件では、学校を選ぶ際にかなり悩みました。私立は近くになく、公立で通いやすそうなところは、別の自治体だったのです。各所関係機関に問い合わせをしたり、隣の自治体に問い合わせをしたり、住民票を移すことも考えました。
が、どれもうまくいかずに現在の住んでいる管轄の公立の多様化学校への入学となりました。
とはいえ、あるだけでも幸運なことだったと思います。
通いたくても近くにない、まだまだ多くの子どもたちがそのような状況です。
クラス編成は?
現在通っている中学校は、学年ごとの3クラスです。3クラス合わせても通常のクラスの1クラス分の人数なので、全学年合同での活動も多いです。ほとんどの公立は同じようなクラス編成で、私立の人数が多いところは1学年でクラスが分けられているようです。
登校時間・時間割など
多様化学校は、学校ごとに特色のあるプログラムを決めているので学び方はさまざまです。
子どもが現在、通っている学校の場合ですと、
朝は少しゆっくり始まります。といっても通常の学校より30分程度遅いだけなので、その学校が近くなければ、通常の中学校に行く時刻と変わりない時間に家を出るか、遠ければもっと早い時間に行くことになります。これも学校によりさまざまで、起立性調節障害などの配慮だったり、他の学校の生徒と被らないようにするなどの配慮により、もっと遅い始業時間の学校もあるようです。
時間割も独自に決めたプログラムですが、多くの学校は、授業数・単元数が通常より少なめ、1時間の授業時間が短い、休み時間を長く取るなど疲れないように考えられています。他にも、自分にあった興味のある分野の学びを選択できるなど工夫されています。オンライン学習が可能な学校もあるようです。
行事はある?
子どもの学校は、遠足や社会科見学、移動教室などは他学年と合わせて行くことが多いです。行く場所は生徒たちが案を出し合って皆で決めることもしているようで、こういったところは多様化学校ならではなのかと思います。運動会や学芸会は本校に出向いて合同で行います。修学旅行は3年生だけの少人数で行っていました。
学校行事は通常より少なめですが、普通中学校のように主な行事はあります。
定期テストもあります。定期テストに関しては、行っていない学校もあるようです。
入学を希望するには?
入学を希望するには、私立と公立や自治体により変わってきますので、学校に問い合わせるのが一番早いです。
新年度からの入学をお考えなら、夏には問い合わせの準備をおすすめします。体験授業の定員がいっぱいになると締め切りになることもありますので、早めの準備をしておきましょう。
入学までの流れ
入学した公立中学校の場合です。
最初に、教育委員会の不登校を扱う窓口に申し込みをして、担当の方と三者面談を受ける。その後に、その担当の方と子どもと親の3人で学校を訪問して見学をする。そして体験入学の申し込みをするという流れでした。
年度の途中だと流れは変わると思いますが、年度初めからの希望だと、その体験申し込みの期間を過ぎてしまったり、体験期間中に体験ができないと入学不可になるということでした。引っ越しなどがあればまた別かもしれません。
体験期間は思っていた以上に長かったです。1ヶ月近くありました。通えるかとても心配だったのですが、その期間毎日行くというわけではなかったですし、中には途中休むお子さんもいました(そのお子さんが入学できたかはわかりませんが)。
そして後日、校長先生と子ども、親、進行役の先生の4人で面接です。最初から最後まで、子どもに対して校長先生から質問されました。大人でも初めてお会いする校長先生との面接は緊張すると思いますが、厳しめに「なぜこの学校に通いたいのか」など質問されました。そして数週間後に入学許可の書類が届いたという流れです。
隣の自治体の多様化学校へ問い合わせした際も、ほとんど入学までは流れは同じもので、期間中に校長先生と面接をしなければ、新年度からの入学許可がおりないというお話でした。
これはあくまでもその時の様子なので、現在は変更になっているかもしれませんし、繰り返しになりますが学校によって大幅に変わると思います(優しい校長先生かもしれません)。
実際の感想は?
子どもと保護者の感想(調査より)
令和5年4月1日時点で開校している、学びの多様化学校全24校に対して行った学びの多様化学校実態把握調査では、生徒の声と保護者の声を紹介しています。
生徒
- 自分を変えられた
- 分かり合える友だちに出会えた
- 学校に行くのが楽しい
- 学習の中で自分の成長を感じられる
保護者
- 子どもの変化に驚かされた
- 子どもだけでなく家族も変わっていく
- 学校の在り方に大きな魅力を感じる
など肯定的な意見が掲載されています。
個人的な感想
子どもを実際に入学させてみた感想です。現在、学校はお休みしていていますが、週に1、2回先生と別室で勉強などをさせてもらっています。通っている子どもたちは皆、とても明るく元気に過ごしているように見えます。少人数なので、細やかな指導をしている印象です。
当然ですが「学校」だなと思います。規則も通常の学校のように厳しいですし、定期テストもあります。他にも、もう少し柔軟に対応してくれても良いかなとも思いますが、公立なので仕方ないと思っていますし、分教室型なので尚更かもしれません。服装や持ち物も本校に合わせることもたくさんあります。でも通常の学校に通っていたらもっと大変なことになっていたので、多様化学校があることは素直に感謝しています。
まとめ
不登校の子どもの進学先は親にとって、とても難しい問題です。特に小学校や中学校は選択の幅が狭く悩みどころです。不登校の人数が過去最高になり、国も対策に向けて動き出しています。学びの多様化学校という選択肢が増えただけで、我が家もだいぶ変わりました。これからも全ての子どもたちにたくさんの選択肢を与えて欲しいと願っています。
最後までありがとうございました。
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参考資料:
学びの多様化学校の設置に向けて【手引き】 文部科学省
学びの多様化学校解説資料(参考資料)文部科学省